楽器ってずっと使えるの?寿命・修理・メンテナンスの話 管楽器リペアマンというお仕事

■ 毎日吹いてる楽器、気になったことない?
吹奏楽部で楽器を使っていると、ふとこんなこと思うことありませんか?
「最近なんか音が出にくい気がする…」
「タンポがベタベタしてるけど、大丈夫かな?」
「コルクがはがれてる気がする…なんか違和感あるな」
「これって壊れてる?修理したほうがいいの?」
楽器は毎日使っているうちに、見えないところで少しずつ疲れていきます。
でも安心してください。
ちゃんと手入れをして、タイミングよく修理をすれば、何年も元気に活躍してくれる相棒なんです!

■ 楽器の「寿命」はどのくらい?
まず気になるのが、「楽器ってどれくらい使えるの?」という疑問。
実はこれ、使い方やメンテナンス次第で変わります!
● 楽器ごとの目安(しっかり手入れした場合)
楽器 | 大切に使えばこのくらい使えるよ! |
---|---|
トランペット/ホルン/トロンボーンなど金管楽器 | 約30年〜100年 |
クラリネット/サックスなど木管楽器 | 約30年〜100年 |
まさかの100年!?
です。不思議じゃないです。
楽器屋やっていると50年ものの楽器なんてたくさん出てきます。
で、なんと現役でバリバリ使用中!
さすがに100年ものは・・・たまには出るんですが、
現在の音楽にマッチしないので趣味の世界に突入してしまいますね。
ただ、今後は100年物の楽器も増えてくると思います。
管に穴が開いてもふさげますので、実質的には超長寿命といえるかもしれませんね。
金管楽器の寿命は20年って定説もありますが、それも考え方次第。
音に張りがなくなってくるのを寿命と呼ぶかどうかで判断が分かれそうです。
■「修理に出すタイミング」って、どんなとき?
楽器って、見た目には何も変わっていなくても、キーやピストン、タンポなどのパーツが少しずつ摩耗・劣化していきます。
以下のような症状が出てきたら、それは修理や調整が必要なサインかもしれません。
金管楽器の場合(トランペット・ホルンなど)
- ピストンやロータリーの戻りが悪い、動きが鈍い
- 管の中からシャリシャリ・カラカラと変な音がする
- 音が詰まったように感じて、鳴らしにくい

木管楽器の場合(クラリネット・サックスなど)
- キーの動きが重たい or ぐらつく
- タンポがベタついたり、空気が漏れるような感覚がある
- コルクが欠けていたり、はがれて浮いている
- ちゃんと吹いてるのに、音が出にくくなってきた
こうした症状が出てきたら、楽器店に相談して、点検・修理に出してみましょう。
「音が出ない=自分のせい」じゃないことも、実はたくさんあるんです。

■ 修理って、どんなことをするの?
プロの技術者がパーツの調整や交換をすることで、楽器は元通りの吹き心地に戻ります。
たとえば…
- 金管楽器なら:ピストンの動き調整、管内の汚れの洗浄
- 木管楽器なら:タンポの交換、キーバランスの調整、コルクの貼り替え
一度修理に出した楽器は、音も出しやすくなり、吹いていて楽しくなること間違いなしです!
■ 普段からできる「メンテナンス」も大事!
修理に出すのはもちろん大切だけど、毎日のケアが楽器を長持ちさせる一番のポイントです。
やっておきたい日々のメンテナンス
- 吹いた後はスワブやガーゼで水分をしっかり拭き取る
- 金管楽器のマウスパイプやチューニング管は、毎日スワブを通してチェックする
- 木管のリードはよく乾かして保管する
- ケースにきちんと収めて保管する。出しっぱなしにしない
要は水分と汚れが最も大敵。
毎日の小さなケアが、音の出しやすさや楽器の寿命に大きく影響します。
■ まとめ:自分の楽器に、ちゃんと向き合ってみよう!
楽器は、毎日吹いて一緒に練習してきた大事なパートナー。
調子が悪くなったときは「もうダメかも…」じゃなくて、“修理”という選択肢があることを知っておいてください。
- おかしいな?と思ったら、すぐにプロに相談!
- 日々のケアで寿命がぐんと伸びる!
- 修理に出せば、また気持ちよく吹けるようになる!
あなたの音楽がもっと楽しく、気持ちよくなるように、楽器の声に耳をすませてみてくださいね。

この記事の著者
管楽器リペアマン
服部 悟
服部 悟
岡山県出身。10代の頃より吹奏楽に親しみ、専門学校卒業後、楽器店勤務を経て独立。
2000年代より本格的に管楽器修理・販売・教育事業に携わり、現在は「株式会社服部管楽器」および関連スクールの代表として、多くの奏者とリペアマンを育成している。
自身の現場経験を活かし、リペア職人の社会的価値向上を目指して活動中。
noteに活動記録あり https://note.com/hattorikangakki
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