ハーモニーディレクターが買えなくても大丈夫。無料で純正律の和音が鳴る基礎合奏アプリを作りました
基礎合奏のハーモニー練習でいちばん大事なのは、正しくハモった和音を耳で聴いて、そこへ自分の音を寄せることです。そのお手本を鳴らす定番の機械がヤマハのハーモニーディレクターですが、希望小売価格は75,900円(税込)。部費や団費では、なかなか手が出ませんよね。そこでスイラボ編集部は、スマホやタブレットのブラウザで開くだけで純正律の和音が鳴る、無料の練習ツール「ハモり練習台」を作りました。この記事のページの中で、そのまま使えます。
鍵盤をタップすると音が鳴り続け、もう一度タップすると止まります。何個でも重ねられるので、和音を作ってから「純正律」と「平均律」を切り替えて、響きの違いを聴き比べてみてください。音が出ないときは、iPhoneのマナーモードを外すと鳴ることがあります。
純正律と平均律の違い、チューナーで合わせてもハモらない理由
基礎合奏にハーモニーディレクターのような道具が必要と言われる理由はひとつで、チューナーで合わせただけでは和音がきれいにハモらないからです。チューナーの目盛りは平均律という、どの調でも同じように弾けるように少しずつ妥協した音の並びでできています。ところが、管楽器どうしで和音を鳴らすと、うなりの出ない気持ちいい響きは平均律からずれたところにあります。
- 長3度(ドミソのミ)は、平均律より約14セント低いとハモります
- 完全5度(ドミソのソ)は、平均律より約2セント高いとハモります
- 短3度(ラドミのド)は、平均律より約16セント高いとハモります
このずれた響きを純正律と呼びます(くわしくは「純正律と平均律の違いとは?」で解説しています)。数字で言われてもピンと来ませんが、正しくハモった和音を一度聴くと「あ、これか」と分かります。ハーモニーディレクターのような機械は、この正解の響きを指導者の代わりにすぐ鳴らしてくれるので、基礎合奏の時短になるわけです。
チューニングそのものが合わない原因は、温度や楽器の状態のこともあります。そちらは「チューニングが合わないのはなぜ?吹奏楽の音程がズレる原因と直し方」で詳しく紹介しています。
ハーモニーディレクターHD-300はどんな機械?値段は?
ヤマハのハーモニーディレクターHD-300は、2021年3月に発売された吹奏楽の練習用キーボードです。ヤマハの公式サイトでは、希望小売価格は75,900円(税込)となっています(2026年10月25日に確認)。平均律と純正律を切り替えて鳴らせるほか、公式サイトでは次のような特長が紹介されています。
- 教本「JBCバンドスタディ」の音データ167曲を内蔵し、自動演奏でピッチやリズムを聴きながら練習できる
- 奏者が能動的に上達できるように、録音機能を搭載している
- 無料のアプリ「HD-300 Assistant」(iOS・Android)とBluetoothでつなぐと、本体の遠隔操作やコードの判別ができる
ここで注意したいのが、ハーモニーディレクターの公式アプリは無料ですが、HD-300の本体とつないで使うものだという点です。アプリだけでハーモニーディレクターの代わりになるわけではありません。ほかに、ローランドからも純正調と平均律を切り替えられる練習用キーボード「JUSTY HK-100」という機種があります。今の販売状況や価格は販売店でご確認ください。
無料ツール「ハモり練習台」でできること

- 鍵盤をタップして和音を鳴らし続けられる(何音でも重ねられます)
- 純正律と平均律をワンタッチで切り替えられる
- 押した和音から根音を自動で見つけて、ほかの音を純正の高さにずらす(調の主音に固定するモードもあります)
- それぞれの音が平均律から何セントずれているかを表示する
- 和音の中の1音だけを、ハモる高さのまま鳴らせる(画面の音の名前を押すだけ)
- 基準ピッチはA=436〜446Hzから選べる(吹奏楽で多い442Hzが最初の設定です)
- 音色はオルガン、ブラス、クラリネット風、純音の4種類
- 鳴らしたまま1オクターブ上げ下げできる
- メトロノーム(拍子、裏拍、3連、16分、タップでテンポ合わせ)
- 練習中は画面が暗くならない
442Hzという基準ピッチについては「442Hzとは?なぜ吹奏楽のチューニングは442ヘルツ?」で解説しています。
基礎合奏での使い方は3ステップ
- B♭の基準音ボタンを押して、全員で音を合わせます
- B♭の和音(B♭、D、F)を鳴らし、根音、5度、3度の順にパートを重ねていきます
- 「平均律」に切り替えて同じ和音を鳴らし、響きの違いを全員で聴き比べます

和音を鳴らした状態で、画面の上に出ている音の名前(たとえばD4)を押すと、その音だけがハモる高さのまま鳴ります。ほかの音は止まらずに待っているので、もう一度押せば和音に戻ります。3度の人は、まず低めのDだけを聴いて高さを真似してから和音に入ると、ぐっと合わせやすくなります。そのまま純正律と平均律を切り替えれば、1音だけで高さの違いも聴き比べられます。
聴き比べると、平均律の和音は少しうなって聴こえ、純正律の和音は音がひとつに溶けたように聴こえます。3度を担当する人は「チューナーより少し低め」、5度を担当する人は「ほんの少し高め」が合う場所だと体で覚えられます。スマホのスピーカーでは音が小さいので、合奏で使うときはBluetoothスピーカーにつなぐのがおすすめです。
移調楽器の人は、自分の楽譜の音名で押せます

クラリネットやトランペットはin B♭、ホルンはin F、アルトサックスはin E♭を選ぶと、鍵盤が自分の楽譜どおりの並びになります。「楽譜のドミソ」を押せば、ちゃんと合奏で合う高さの和音が鳴るので、移調の計算をしなくて済みます。音名は英語、ドイツ音名、ドレミ、ハニホから選べて、ドの鍵盤には「ド4」「一点ハ」のように高さも出ます。
ハーモニーディレクターと比べて足りないこと
無料ツールなので、できないこともはっきりお伝えします。
- JBCバンドスタディの内蔵曲、自動演奏、録音の機能はありません
- 本物の鍵盤ではないので、たくさんの音を同時に押すのはタブレットの横向きが向いています
- 音量と音質は、使うスマホやスピーカーに左右されます
- アプリを裏に回すと、メトロノームが遅れることがあります
毎日の基礎合奏で和音の正解を聴くだけなら、まずはこれで十分です。使ってみて物足りなくなったら、ハーモニーディレクターを検討するのが失敗しない順番です。
よくある質問
本当に無料ですか?
はい、無料です。会員登録もいりません。ブラウザでこのページを開けば使えます。
AndroidやiPadでも使えますか?
インストールは不要で、iPhone、Android、iPad、パソコンのブラウザで動く作りです。iPhoneとiPadはマナーモードだと音が出ないことがあるので、そのときはマナーモードを外してください。
いつも純正律で合わせればいいのですか?
管楽器どうしで和音を伸ばす場面では、純正律に寄せるときれいにハモります。ただ、ピアノやマリンバのように平均律で調律された楽器と一緒に鳴らす場面や、旋律を吹く場面では、平均律に近い高さのほうが合うこともあります。曲の中でどちらに寄せるかは、指導者の指示に合わせてください。
ハーモニーディレクターの公式アプリとは違うのですか?
違います。ヤマハの「HD-300 Assistant」はHD-300本体とつないで使うアプリです。ハモり練習台はスイラボが作った別のツールで、ヤマハとは関係ありません。本体がなくても、これだけで純正律の和音を鳴らせます。
正しくハモった響きを知っている人がひとり増えるだけで、合奏の響きは変わります。今日の基礎合奏で、ぜひ一度鳴らしてみてください!


