「月1回、好きな時にふらっと音を出すだけ」義務もプレッシャーもなく“音楽を楽しむ場所”をつくり続ける ――ヤッシー楽団・ヤッシーさんインタビュー
はじめに
月に一度、行きたい時にふらっと集まって、
その日に来たメンバーで気ままに音を出すだけ。
本番に向けた厳しい練習もない。
「毎週来い!」という空気もない。
「音を出す瞬間に笑える。それだけで十分なんです。」
今回お話を聞いたのは、神戸で15年以上続く
“ゆるくて自由”な市民楽団・ヤッシー楽団の代表、ヤッシーさん。
なぜ目的もゴールも作らないのか?
どうやって続けてきたのか?
そしてこれからどんな未来を思い描いているのか。
たっぷりお聞きしました。
■ ヤッシー楽団とは

「来たい人が、来たいときに来るだけ」のバンド
ヤッシー楽団は、普通の市民楽団とはちょっと違います。
- 出欠確認なし
- 参加しなくても怒られない
- 初心者・ブランク何十年でもOK
- 本番は「気が向いたらやる」
「みんな仕事や家のことがあるでしょ。
だから毎週必ず練習!みたいにしたくないんです。
月に1回、楽器を持ってきて音を出すだけ。それでいい。」
20年ぶりに楽器を触った大人もいれば、学生ぶりに久しぶりに吹いてみた人もいて、とても自由な雰囲気です。
■ 誕生のきっかけ
「高校のOBが5人でお茶してたら、いつの間にか始まってた」
ヤッシー楽団の始まりは、本当にゆるい。
高校吹奏楽部のOBが集まってお茶していたとき、
「まだ楽器持ってる?」「ちょっと吹いてみよか?」
という何気ない会話がきっかけでした。
「最初は3人しか来ない日もあったんですよ。 トランペットとサックスとトロンボーンだけで吹奏楽曲を吹く(笑)。 ここ誰が吹いてるん?とか言いながらね。」
そこから、上手に吹く場所ではなく、音を出して一緒に笑う場所としての空気が育っていきます。
■ なぜ続いてきたのか

「目的がないほうが、逆におもしろい」
ヤッシーさんはこう言います。
「目的があると、しんどくなるんです。
練習してないと行きづらい、行かないと怒られそう……
そういう空気が苦手で。」
だからこそ、あえて目的をつくらない。
- 上手くなる必要なし
- 練習してこなくてOK
- 本番に出なくてもOK
- 行きたいときに行けばいい
「居酒屋でしゃべって笑うのと同じ感覚ですよ。 みんなで笑えたら、それで十分。」
この気楽さが多くの人に受け入れられ、 今では練習には50〜60人、イベントでは80人近くが集まる大きな楽団に成長しています。
■ 広がっていった “月1スタイル”

「義務なく楽しむ吹奏楽が増えるのは嬉しい」
ヤッシー楽団の活動は、神戸や大阪で 同じように“月1・自由参加”のアンサンブルが生まれるきっかけにもなりました。
ヤッシーさんは 「時代がそういう場所を求めていたんだと思います」と話しますが、 このスタイルが広がった背景には、ヤッシー楽団の存在が大きくあります。
■ 若い世代・子どもたちへの想い
「吹奏楽に出会う入口を、なくしたくない」
いま全国で進んでいる部活動の地域移行。
その影響で吹奏楽部が縮小し、楽器に触れる機会が減っています。
「吹奏楽部って、特別すごい人じゃなくても “やってみたい!”と思って飛び込める入口だったんですよ。 その入口が消えてしまうのは、本当に惜しい。」
だからこそ、
誰でも音楽を楽しめる場所を残したいという気持ちを強く持っています。
■ これからの展望
「大人の文化祭みたいなイベントを復活させたい」
ヤッシー楽団には、昔大人気だったイベントがあります。
- アクセサリー作りのワークショップ
- メンバーのフリーマーケット
- 小さなアンサンブル発表
- みんなで飲んで笑う音楽会
まさに、大人の文化祭。
「コロナ前にやっていた『楽団の日』をもう一度やりたいんです。 大人が本気で遊ぶ文化祭。あれをまたやりたい。」
さらに、
- 神戸文化ホールで演奏したい
- 月1でフェスみたいに楽しみたい
- 新しい音楽の遊び方をどんどん提案したい
など、アイデアは尽きません。
■ 最後に

「月に1回、笑って帰ってくれたらそれでいい」
ヤッシー楽団が長く愛される理由。 それは、この言葉にすべて詰まっています。
「その日、楽器を吹いて、笑って、楽しかったな〜って帰ってくれたら、それだけでいいんです。」
競争でも義務でもなく、
ただ音を出す喜びを思い出せる場所。
ヤッシー楽団は、そんなあたたかくて自由な市民楽団です。


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