管楽器リペアマンって儲かるの?年収・資格・失敗談を本人に聞いた【スイラボ#11】

管楽器の調整や修理をしてくれる「リペアマン」。気になるけれど意外と知られていない、その年収・資格・仕事の中身を、現役のリペアマン(楽器店の店主)に直接聞きました。スイラボ第11回は、サックスの金ちゃんと打楽器のスナミートが、リペアマンを質問攻め。儲かるのか、資格はいるのか、トランペットの手入れはどうするのか、リアルな話が続々と出てきました。まずは動画でどうぞ。

スイラボ第11回の3人
左からスナミート、金ちゃん、本日の主役・服部さん。
服部
服部
はい、スイラボ始まりました!
スナミート
スナミート
今日のテーマは?
服部
服部
リペアマンを、質問攻めにする!

楽器王では今、管楽器リペアマンの育成プログラムが始まったところ。研修生第1号がクラリネットの修理に挑戦中です。それでは本題へ。

管楽器リペアマンの年収は?ぶっちゃけ儲かるのか

管楽器リペアマンの収入は、働き方で大きく変わります。楽器店に勤めるリペアマンは月給制で、お店によっては修理の売上より人件費が上回ることもあります。それでも「直せる人がいる」こと自体がお店の信頼につながるため、必要とされる仕事です。独立した場合はピンキリで、駆け出しはアルバイトと兼業する人も少なくありません。月の売上は平均して50万円前後が一つの目安、という声もあります。

金ちゃん
金ちゃん
ぶっちゃけ、リペアマンって儲かるんですか?
服部
服部
いきなり突っ込むなあ(笑)。楽器店勤めだと、払ってる給料より修理代の売上が低いこともよくある。
スナミート
スナミート
えっ、それ赤字じゃないですか。
服部
服部
でも「直せる人がいる」だけでお店の信頼になる。だから赤字でも置いておく価値がある。
服部
服部
で、僕が知ってる中で最上級は…修理だけで、月の売上400万円。
金ちゃん
金ちゃん
400万!?
スナミート
スナミート
マジっすか、俺やろうかな!
服部
服部
いや、そんな人、日本にほぼいないから(笑)
服部
服部
1人で月100万までいった人は、次に入院したって聞いたよ。
スナミート
スナミート
こわ……。

高収入の裏には、体力的な負担もあります。手作業の修理は1人でこなせる量に限界があり、無理を続けると体を壊しかねません。「楽器リペアマンの大変なこと」として、知っておきたいポイントです。

管楽器リペアマンに資格は必要?なるには専門学校に行くの?

結論から言うと、管楽器リペアマンに国家資格や必須の公的資格はありません。リペアの専門学校や大学のコースはありますが、それは技術を学ぶ場であって、資格そのものではありません。つまり「リペアマンになるには」の正解は一つではなく、専門学校で学ぶ人もいれば、楽器店で見習いとして経験を積む人もいます。参考までに、同じ楽器でもピアノの調律は国家検定の対象ですが、管楽器のリペアにはまだ統一資格がないのが現状です。

金ちゃん
金ちゃん
そういえば、リペアの資格って必要なんですか?
服部
服部
いい質問。……じつはね、資格、ないんですよ。
金ちゃん
金ちゃん
えっ、国家資格も?
服部
服部
国家資格も民間資格も基本ない。明日から『私リペアマンです』って名乗れちゃう。
スナミート
スナミート
それ、ノラリペアマンってことですね。
服部
服部
ピアノの調律はもう国家資格なのにね。管楽器リペアの協会は、まだないんですよ。

資格がないぶん、技術力と信頼がすべて。学校で学ぶか、現場で学ぶか。「管楽器リペアマンになるには」を考えている人は、専門学校の見学と楽器店の求人、両方をチェックしておくと選択肢が広がります。

リペアの失敗談|楽器修理で起きる“やらかし”と修理費用

楽器の修理は繊細な作業で、わずかな力加減や熱で取り返しのつかないことが起きます。木管楽器のタンポ(音孔をふさぐ部品)の交換では、接着剤を火であたためて外しますが、熱を入れすぎるとキーごと外れてしまうことも。金属を変形させてしまう事故もあり、交換になれば数万円から数十万円の費用がかかります。だからこそ、修理は自己流で力任せにせず、専門家に任せるのが安全です。

金ちゃん
金ちゃん
今までで一番の失敗って何ですか?
服部
服部
僕は心配性だから大きな失敗はないかな。でも“聞いた話”ならあるよ。
服部
服部
木管のタンポ交換であたためすぎて、キーがポロッと取れたらしい。
スナミート
スナミート
ポロッ!?
服部
服部
金属が真っ赤になるくらい熱を入れないと取れないレベルなのにね。
金ちゃん
金ちゃん
こわすぎる……。
テナーサックス
サックスは力任せに直そうとすると一発で曲がってしまう。
服部
服部
あと、曲がった楽器を手のひらでギューッと直そうとして、ソプラノサックスがくの字に。
スナミート
スナミート
くの字(笑)
服部
服部
クランポンの赤い管体は柔らかいから、やりやすいんだって。交換で何十万コース。

サックスやクラリネットの修理費用は、症状や部品によって変わります。曲がりやへこみ、タンポ交換などはとくに技術と時間がかかるため、まずは見積もりを取るのが安心です。

楽器の修理は何ヶ月待ち?服部さんの“即できます”の裏側

人気の工房では「修理は3ヶ月待ち」も珍しくありません。ところが服部さんのお店は“即”対応できるそう。その理由には、楽器店ならではの事情がありました。

金ちゃん
金ちゃん
服部さんのお店、修理は何ヶ月待ちですか?
服部
服部
うち?即やれますけど(笑)
スナミート
スナミート
即!? なんでそんなに空いてるんですか。
服部
服部
……正直、修理を積極的に取りにいってなかったんです。修理が増えると“売る”時間が減って、楽器店としては売上が落ちる。
金ちゃん
金ちゃん
ジレンマだ……。
服部
服部
でも頼られると『しょうがないなあ』ってやっちゃうんだけどね。

トランペットの手入れ・掃除の頻度は?金管こそ内側のケアを

トランペットなどの金管楽器は「壊れるまで放置」しがちですが、定期的な手入れと掃除が音を左右します。とくに汚れやすいのが、口元に近いマウスパイプ。ここは管の中で最も細く、汚れがたまると内径(テーパー)が変わり、楽器本来の鳴りが損なわれます。手入れの頻度の目安は、演奏ごとの水抜きと拭き上げに加えて、定期的な管内の洗浄。ときどき抜き差し管を外して中を覗く習慣をつけると、トラブルを防げます。

金ちゃん
金ちゃん
金管ってあまり調整に出さないですよね。
服部
服部
金管こそ中を覗いてほしい。一番汚れるのは口元のマウスパイプ。そこが楽器で一番細い。
スナミート
スナミート
中ってどうなってるんですか?
服部
服部
本当にすごいのあるよ。ナウシカの世界みたいな。
金ちゃん
金ちゃん
ナウシカ(笑)
服部
服部
海外じゃ、バグパイプの雑菌で奏者が亡くなった話もあるからね。
スナミート
スナミート
歯磨いてから吹きます……。
分解されたトランペット
ここまで分解して、はじめて管の内側まできれいにできる。

手入れの基本は、演奏後に水分を抜いて拭くこと、そして定期的に管内を洗うこと。トランペットの掃除道具(クリーニングスワブやブラシ)を使えば自宅でもケアできます。不安なときは楽器店で点検してもらいましょう。

まとめ

管楽器リペアマンの年収・資格・仕事のリアルが見えた回でした。儲かるかどうかは働き方しだい、資格は不要でも技術がすべて、そして手入れ次第で楽器の鳴りは変わる。職人さんへの見方が、少し変わったのではないでしょうか。