純正律と平均律の違いとは?吹奏楽で「3度は低め」と言われる理由【吹奏楽まめちしき】#16

合奏で「3度の人、もう少し低く」と言われたことはありませんか。チューナーの針は真ん中なのに、なぜ低くするのか。その答えが、純正律と平均律という2つの音の決め方の違いです。結論から言うと、平均律は1オクターブを12等分した、どの調でも使える音の並び。純正律は、音どうしの振動数がきれいな整数の比になる、和音がいちばん澄んで響く音の並びです。吹奏楽の和音は、純正律に寄せるとハモります。

結
結
チューナーで合わせたのに「低く」って言われると、チューナーを信じていいのか分からなくなります…。
音葉
音葉
チューナーは間違っていないんです。物差しが平均律でできているだけ。和音には、もうひとつの物差しがあるんですよ。

平均律とは?1オクターブを12等分した音の並び

平均律は、1オクターブをぴったり12等分して、半音をすべて同じ幅にした音の並びです。半音1つの幅を100セントと数えるので、1オクターブは1200セントになります。セントは音の高さの細かい目盛りの単位です。

どの調でも同じ幅なので、ピアノのように音の高さを後から変えられない楽器でも、ハ長調からヘ長調へ自由に転調できます。ピアノ、マリンバ、そしてチューナーの目盛りも、この平均律でできています。

ヤマハのチューナーメトロノームTDM-710
チューナーの真ん中は平均律の高さです。このチューナーの目盛りの上には、小さく−14と+16の印も付いています

ただし、平均律は「どの調でもそこそこ合う」ように少しずつ妥協した並びです。和音を伸ばすと、ほんのわずかに音がうなって聴こえます。

純正律とは?振動数がきれいな比になる音の並び

純正律は、和音の音どうしの振動数が、簡単な整数の比になるように決めた音の並びです。ドに対してソは3対2、ミは5対4、短3度は6対5。比がきれいだと音の波がぴったりそろい、うなりが消えて、和音がひとつの音のように溶けて聴こえます。

そのかわり、純正律は調ごとに音の高さが変わります。ハ長調で合わせたミと、別の調で必要なミは同じ高さになりません。だからピアノのような楽器には向きませんが、管楽器は息や唇で音の高さを細かく動かせるので、和音ごとに純正律へ寄せることができます。

どれくらい違う?平均律からのずれの一覧

根音を平均律のまま鳴らしたとき、ほかの音を純正律にすると、平均律から次のようにずれます。

根音から見た音程ドを根音にしたとき純正律の比平均律からのずれ
完全5度ソ3:2約2セント高い
長3度ミ5:4約14セント低い
短3度ミ♭6:5約16セント高い
完全4度ファ4:3約2セント低い
長6度ラ5:3約16セント低い

5度と4度はほとんど同じですが、3度と6度は14〜16セントも違います。半音の7分の1ほどで、和音の中では、はっきり聴き分けられる差です。

吹奏楽で「3度は低め」と言われる理由

長三和音(ドミソ)の真ん中の音、ミは長3度です。純正律ではミが平均律より約14セント低いところでハモるので、チューナーの真ん中で吹くと高すぎて和音がうなります。これが「3度は低め」の正体です。

ドミソの和音を純正律で鳴らした画面
ドミソを純正律で鳴らすと、ミはマイナス13.7セント、ソはプラス2.0セントになります

逆に、短三和音(ラドミ)では、真ん中のドが根音ラから見て短3度にあたり、約16セント高いところでハモります。短調の和音では「3度は高め」になるので、いつも低くすればいいわけではありません。

ラドミの和音を純正律で鳴らした画面
ラドミを純正律で鳴らすと、ドはプラス15.6セント、ミはプラス2.0セントになります
結
結
長調は低め、短調は高め…覚えることが増えました。
音葉
音葉
理屈より、うなりが消える場所を耳で探すのが近道です。消えた瞬間が正解ですよ!

純正律で和音を合わせるコツ

  1. 根音の人は、チューナーで平均律の高さに合わせます
  2. 5度の人は、根音を聴きながら、うなりが消える位置まで少しだけ上げます
  3. 3度の人は、根音と5度を聴きながら、長調なら下げ、短調なら上げて、うなりが消える位置を探します
  4. うなりが消えて和音がひとつに溶けたら、その高さを体で覚えます

正解の響きを一度聴いてから合わせると、ぐっと早くなります。スイラボの無料ツール「ハモり練習台」では、和音を純正律と平均律で切り替えて聴き比べたり、3度の音だけを純正律の高さで鳴らしたりできます。

純正律の和音を、いま耳で聴いてみる

スイラボの無料ツール「ハモり練習台」なら、スマホのブラウザだけで純正律と平均律を切り替えて聴き比べられます。

ハモり練習台を使ってみる

いつも純正律で吹けばいいの?

和音を伸ばす場面では、純正律に寄せるときれいにハモります。ただ、ピアノやマリンバなど平均律で調律された楽器と一緒に鳴らす場面では、平均律に近い高さのほうが合うこともあります。どちらに寄せるかは、曲の場面と指導者の指示に合わせてください。チューニングそのものが合わないときの原因は「チューニングが合わないのはなぜ?」、基準の高さについては「442Hzとは?」で紹介しています。

よくある質問

純正律と平均律、どちらが正しいのですか?

どちらも正しい音の並びで、得意な場面が違います。平均律はどの調でも使えて、純正律は和音が澄んで響きます。吹奏楽の和音では、純正律に寄せる考え方がよく使われます。

セントとは何ですか?

音の高さの差を表す単位です。半音1つが100セントで、1セントは半音の100分の1です。チューナーの針の目盛りもセントで書かれています。

チューナーの真ん中に合わせるのは意味がないのですか?

意味はあります。根音を合わせる基準と、楽器ごとの音程の癖を知るためにチューナーは欠かせません。和音の中では、そこから耳で少し動かす、という順番です。

純正律を知ると、合奏の「低く」「高く」の意味が分かって、ハモる瞬間がもっと楽しくなります。次の合奏で、ぜひうなりが消える場所を探してみてください!

楽器って、売れるって知ってましたか?売る・譲る、どちらも。